その辺にいる社会人3年生(24)

社会人2年目のブログです。

冷めた時代でも熱意を持って

 「今どきの若いもんは」と巷ではよく耳にする。個人的には、面と向かって言われたという記憶はない。言いたいけど、我慢されているのかもしれない。いや、それなら周りに気を遣わせる存在ということだ。反省しなきゃ。その話はちょっとだけ隅に置いておいて…。

 

 とにかく、今の若者はドライだと言われる。自分は尊敬する人にしか礼儀もちゃんとしたくない。そんなの早く産まれただけで頭を下げなければいけないなんて自分からすれば意味が分からない。それを先輩に言うと、「すごい〜そういうのヘコヘコしてしまう。確かに今の若い人はその辺強いよね」と言われた。時代は変化している。改めて思った。その先輩は、きっとそういう時代で生きてきて身体にそういった礼儀が染みついているのだ。大袈裟に言えば、先輩も被害者である。気の毒に思う。でも、その先輩は「時代は変わっていっているからね」とも言っていた。先輩も苦しい時代を生きてきたのだろう。時代の変化が掴める人間は強い。さすが、自分が尊敬している先輩だ。

 

 でも、そんな冷めた時代にも変わらずに大事にしていくべきものはあると自分は考える。「そういうの今は流行らない」と言って切り捨てる若者がいるのも事実である。何でも省エネで行動するのが、今の若者の特徴である。汗をかかないというのも一つの表現で適しているかもしれない。自分は仕事柄かもしれないが、子どものために、子どもと一緒に熱意を持って働きたいのだ。

 

 現在、TVerで「3年B組金八先生 第5シリーズ」が視聴可能である。第5シリーズといえば、最高傑作と呼び声高い風間俊介演じる兼末健次郎という生徒を輩出したシリーズである。勉強もスポーツも万能。明朗快活な優等生と見られているが、その裏で担任教師を煽り同級生を脅し操る学級崩壊に追い込む問題児だった。しかし、その背景には悲惨な家庭環境があった。健次郎を含んで兼末家は大企業に勤める父と愛情を勘違いしている専業主婦の母と優しくてこの家に対して違和感を感じる正常な感覚を持っている姉と東大に現役合格した優等生、そして母のお気に入りの兄の5人家族である。一見、誰もが羨む家族である。しかし、それは何も兼末家が見えていないということになる。まず、姉は健次郎を連れ出してくれたスキー旅行で事故に遭い亡くなった。健次郎が最も信頼している存在だったのだ。また、兄は東大には合格したものの人間関係に躓き不登校になってしまう。部屋に引きこもるようになったため、「ハーバード大学に進学し、アメリカに行っているということにしよう」という両親の考えに子どもの健次郎も付き合わせる。母親の目には、長男しか映っていない。次男である優等生でいい子の健次郎は放ったらかし。母親思いの健次郎には、何よりも辛かった。父親は家庭を顧みず、我が家の問題にも関わらず全く触れようとしなかった。何もかもに押しつぶされそうになった健次郎は、外でストレスを発散するようになる。それが学校での悪事だった。それで何とかメンタルを保とうとしていたのだ。ずっと隠してきたが、学校でもいろいろと起こり、健次郎は追い詰められ、孤立してしまう。今まで脅してきた取り巻きも離れていった。その頃、「健次郎、大丈夫か?」と健次郎宅の前から金八は電話を入れる。それに気づいた健次郎は慌てて家を飛び出し、そこにいた金八に泣きながら「先生!」と抱きつくシーンがある。それはそれは、視聴者も大号泣である。そこから金八を頼り、健次郎は更生していく。遂に金八も家庭に入り込んでいく。両親に健次郎の悪事を全て話した。「あなた方は15歳の少年に泥水を浴びせているんですよ。お兄ちゃんをお兄ちゃんを助けなさいと。そりゃくたビレますよ」と両親を叱るシーンもあった。その時も「先生…」と涙ながらに言う健次郎にも涙。金八も「心配するな…心配するな健次郎…なあ…」と泣きながら言うのだ。しかし、兄が突然「ママの愛情が重い。だから出ていく」と言い、荷造りを始める。それでも、母は諦めない。「ママがいなくなったらどうするの?」と脅しのような言葉で引き止めようとする。終いには、「それならママも行くしかないわね。長男をとるしかない」と言い出す。そこで、健次郎は「僕はどうなるの?僕もとってよ…」と言うが、とてつもなく切ない。それに対しての母の返答も「健ちゃんいい子でしょ?いい子はそんなこと言わないの」と辛辣である。その際、兄は包丁を取り出す。母は、異常な長男への愛を持っているため、「一緒に死にましょう」と言う。正直狂っている。それを必死に止めようとした健次郎が、最終的に母の腹部に包丁を刺してしまうという大事件が起きる。兄は逃げ出し、母は腹から血を流して倒れている。救急車を呼び、母の手当てをして兄を探しにいく健次郎。涙が止まらなかった。結局刑務所に入れられることになった。同級生にも全て金八の口から事情を話し、それを理解し署名を集めて一緒に卒業式を迎えようという話になる。結果、校長室で卒業式でアナウンスを聴きながら家族に見守られながら、無事卒業していった。その後、卒業証書を手にした健次郎は「10分だけ時間をいただけないでしょうか?」と校長室を飛び出し、3Bの教室へ向かった。同級生に謝るためだ。黒板に書かれた健次郎以外の3B全員の名前。謝罪が終わった後、渡されたチョークで兼末健次郎の名が書かれた時も大号泣。その時、チョークが折れるのだがリアリティがありそれもよかった。

 

 という何度も繰り返し見ている大好きな金八先生。セリフを覚えるまで好きで見ている金八先生から、教師になった今も学ぶことがたくさんある。第3シリーズあたりから、今の若者が醸し出す雰囲気が出ている。教師にぶつかっていかず、陰湿・いじめ・不登校などを通し自己表現しているつもりになっている生徒に金八も頭を悩ませていた。金八の一番の売りと言ってもいいほどの生徒と真正面からぶつかっていくことが全く見れなかったが、金八はやはり腕があるから、心を金八へ開けるようになっていくのだ。

 

 いつの時代も実態を把握して、熱意を持って生徒の思いを受け止めてやれる先生が必要だと思うのである。だからこそ、自分は冷めた時代でも熱意を持った教師でいたい。金八先生からヒントも得たいと考えている。ただ熱いだけの熱血教師は確かに「流行らない」。でも、生徒に寄り添う熱い教師は、まだまだ「流行る」のではないだろうか。