その辺にいる社会人3年生(24)

社会人2年目のブログです。

家庭教師のバイトをしていた頃の話

 「学生の頃、何のバイトしてましたか?」みたいな質問って結構あるよね。個人的にはあんまり言いたくない。家庭教師のバイトなんてお高くとまってるイメージがある。自分もぶっちゃけそう思ってたもんな。賢い人がやるバイトやとか疲れなさそうな省エネで済むような仕事やなとか。でも、田舎ってこともあってたくさん店があるような環境でもなかった。

 

 自分は大学1年の秋からバイトを始めたけど、バイト探してる時は早起きが別に苦じゃないから、新聞配達もええかなあなんてふわっと思ってた。でも、せっかくなら将来やりたいと思ってる仕事に直結してプラスになることをやりたいと思ってたから、結局家庭教師に決めた。掛け持ちとかっていう概念はないし、やめるという選択肢もない。だから、始めたら大学を卒業するまでバイトは家庭教師。

 

 19歳で子どもの勉強の面倒を見る。不安だったけど、とにかく自分で決めたこと、やるっきゃない。結論、とても勉強になった。小学生で既に勉強に躓いている子。発達障害があってまずは学校に安定して通うことが課題である子。そもそも勉強にやる気を見出せない子。自分は自分で言うのも何だが、小学生の頃は公立の学校だったし割とエリートだった。だから、正直あまり小学生の躓きに共感できない。経験がないから。想像上での理解以上のことはできないのだ。これを聞いてもらった分かった人も多いだろうが、超難関校に合格させることや大学受験に向けての勉強を見ることなどのレベルが高いことをしていたわけではない。学校の勉強についていけない小学生や定期テストで一桁をとってしまう中学生に勉強を教えていた。これなら自分の学力でも面倒が見れた。中学生の頃、ほとんど勉強していなかったと自分で思っていたが、それなりにはやっていたことも分かった。

 

 4年間で10人の子どもを見させてもらった。もちろん、誰一人として全く同じ子どもはいなかった。特に記憶に残っている生徒についてここでは振り返らせてもらおうと思う。その子との出会いは大学1年の秋。自分にとって初めて受け持った生徒だった。その生徒は13歳男子。自分が卒業した中高一貫校の姉妹校に通っていた。サッカー部で友だちも多かったが、なぜか学校に行けない。世間的には、不登校と呼ばれる部類。家族構成は、父と母、そして4歳下の妹。両親に尻を叩かれて中学受験をしたことは何となく気づいた。そして、発達障害があったかもと今では思う。この子とは、週に1回の約束で契約していた。1日120分。休憩には、いつも美味しいスイーツ。晩御飯を弁当にして持たせてくれる日が多かった。一人暮らしをしてる自分にとっては、本当にありがたかった。保護者にもとてもよくしてもらった家庭だった。私学の中高一貫校に通っていて、定期テストで10点台がアベレージというのは、本人も辛い。でも、両親がそれを無理やり押し込めてしまったから本人はしんどかったんだろうと思う。まず学校に行けない日の方が多く、行けていても原因はなくピタリとまた行けなくなる。学校に行かなくなったことがない自分からしたら、不思議でしかない。学校に行けなくても、家庭教師はそのまま呼ばれた日もあった。「話だけでもしてやって欲しい」と言われた。正直、契約違反並みのことかもしれないが、自分はそんなのどうでも良かった。だって、数学のテストが全く理解できなくても死なないし違う生き方があると思っていたから。そりゃ親としては不安でしかないと思う。でも、まず勉強ができるできない云々は二の次、三の次だと思うんだよな。

 

 120分話した日もあった。保護者も交えて自分の意見を言わせてもらったこともあった。中高一貫校に通っていた自分のことを何となく頼りにしてくれていたのかな。それは嬉しかった。家庭教師をやっていた時は、センターを通して生徒さんを紹介してもらっていた。そのセンターを大学4年の夏前に辞めた。そこを辞める時に、「個人的にまた来てもらうことはできませんか?」と連絡が来た。そのやり取りで連絡は終わっていたことをふとLINEを見ていて気づいた。そのステータスメッセージに、「もう18歳か〜」と書かれていて、自分も鳥肌が立った。そんなに年月が経ったのかと。もう高校を卒業か。大学受験したのかな。まだ受験勉強中かな。それとも、働くのかな。専門学校?どんな選択をしたのだろう。そして、どんな青年になっているのだろう。そして、妹も中学受験をすると言って、勉強を教えていたこともあった。中学受験はしたのだろうか。もししていたら、合格したのだろうか。彼女も14、5歳になっている頃だ。子どもの成長ってすごいなあ。一瞬だ。

 

 ふと家庭教師をしていた頃のことを思い出した。どの子も個性的で出会えてよかった。どの子も懐いてくれて、可愛かった。みんなどんな道を歩いているんだろう。気になるなあ。